ミクロネシアから見る人の価値

[ ■ チューク(トラック)諸島 ]

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ミクロネシアにロケに出ると「こっちの人は勘定ができない」「時計の針が読めない」「去年のカレンダーだとわからず今年も使ってるだろう」と聞く。学力が低い、知恵がないと言ってしまえばそれまでだが、本当にそうなのか?
小型類人猿のチンパンジーとボノボを比較した場合、その大きな違いは生殖行動にあると言われている。チンパンジーは縦社会で好戦的で、子殺しもする。対してボノボは群れの協調性を保つために生殖行動を平和利用していると言う。動物は一般的に発情期に入らないと生殖行動はとらないが、ボノボの場合、ヒトと同じで発情期にかかわらず生殖行動をとる。それは住んでる場所が食糧も豊富な土地で暮らし別に争う必要がないためと言われている。
ミクロネシアへ行けば目の前は天然の冷蔵庫で魚は普通にとれる。ジャングルに入ればココナッツにバナナ、サトイモ、キャッサバ(タピオカ)など楽に手に入れることができる。しかし、例えば寒い地域だとそこで作物を作るには知恵を働かし、そして技術も出来上がってくる。工夫しなければ生きていけない。
つまり人の価値はチンパンジーとボノボの違いをとってもわかるように、その生活環境によって左右され、決して学力が高いことが優れた人間というわけではないのだ、と思っている。別に時計なんか読めなくても生活できるのだ。

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